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2009年05月18日

はじめに。「2009-10AWを書き出す前に伝えておきたいこと」

2009-10AW Preview Comment by 番頭

'The New Modesty'(=新謙虚主義)とは



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==この記事は、TIURFの会員制SNS『くだもの』で書いたものに加筆したものです==



『そろそろ秋冬について書こう』



さてと、



そろそろ秋冬について書こうと思うんだけど、たくさん書きたいことがあって、

どこから書いていこうか。

そろそろ書かんとな、来来季に追いつかれてしまう。w


やはり、まずは
The New Modesty(=新謙虚主義)といわれるトレンドと、
それがなぜ注目されてきたのか、というところから説明するのが適切だろう。


(この記事は、くだものに書いた記事に加筆したものです)

ーーー

さて、

ここでひとつ簡単に、2009-10秋冬のパリ・東京をざっと『振り返って』(といっても皆さんにとっては「これから」の新しい情報かもしれないけど)思い出しながら書いてみたいと思う。



「リアル」であるかどうか。





まず、来季のトレンドをつかむ上で一番重要な事は、



「リアル」であるかどうか。




ということだ。



これは、ちょっと前にあった「リアルクローズ(=着やすい普段着感覚)」のことを言っているのではない。



「リアル」=つまり、現実に即して、現実に生活している人のための服かどうか、

ということを、どこのブランドも強く意識していると感じる。



90年代に始まったリアルクローズのムード(着やすく着古したような服。デザイナーの普段着のような服)は、いつしかトレンドになったが、表面的な表現の一つである「リアルクローズ」は、当たり前(前提)となってしまったので、ムードとしてはもう終わった。
来季の秋冬は、いわば「リアル・リアルクローズ」というか。もっと「現実」をつきつける服というか。

シビアな現実に、ファッションとしてどう立ち向かっていくか。
これからの未来に、ファッションはどうあるべきなのか。


その答えを、各デザイナーが出した答えが、来季2009-10AWといえる。





そもそも、コレクションブランドとは何か、またそれをばんばん買う人はというと、大学生でも買う日本をのぞけば、
『現実』的には、裕福で贅沢な暮らしが出来る人と、それを買うことのできる購買力がある人のための服だった。



【だった】、


というのは、これが2009-10AWから、ちょっと潮流が変わってきたからだ。

つまり、誰のためのファッションか、ファッションは誰が着るのか、という再認識だ。




『メンズパリコレは、経済危機のわずか3ヶ月後に開催』



思い出してもらうと、

2009-10AWコレクションの開催時期はいつだったか。



メンズパリコレは、2009年1月。

世界同時経済危機が始まった08年10月のわずか3ヶ月後のことだ。



いまでは、この不況感に慣れてきたので、それほど危機感を感じないかもしれないけれど、2009年1月は、突然やってきた経済危機に、これがどれくらいの
規模でいつまで続き、被害はどれくらいなのか、だれにも予想がつかなかった。円高ドル安や株安は連日最安値を更新して、世界中のアナリストが異口同音に恐
怖を口にし、NYウォールストリートに大量の失業者が出るといったネガティブなニュースが毎日のテレビ放映時間を独占した。



こんな経済危機まっただ中で、今回のパリコレはスタートしたのだった。



毎日下がり続ける株価を見て、この先どれくらい経済が悪くなるのかの見通しもつかない状態の中では、むしろ自分の将来の生活の不安が強まって、もはやファッションどころではなかった。そんなムードのピークでパリコレ開催を想像してみてほしい。



09年5月のいまでこそ、ファッションを楽しめるくらいに、株価も景気も回復してきているから、景気悪化の底打ち感があるし、生活にも徐々に安心感が広まりつつある。

以前のようなバブリーは望めないにしても、もう大丈夫、これ以上は悪くならないだろう、という淡い実感がすらある。

思えば、この数ヶ月で、こんなにも経済がアップダウンしたことも、僕等の世代では経験上なかったはずだ。



さて、みなさんには、そういう景気感覚を思い出してもらった上で、タイムスリップして、09年1月頃のショーとして、みてもらう。



ーーーーーーーーーー



『経済危機=攻めの仕入れ=円高ユーロ安



まず、バイヤーとしてパリコレに臨むにあたって考えたことは、

上に書いたような経済テンションだったので、

確かに先行き不透明だったのだが、裏を返せば、



「数年来最高のユーロ安」だということだ。つまり円高ビッグチャンス。



ずっと円安で苦しんできたここ数年のことを思えば、強い円を持ってすれば、ウソのようになんでもがヨーロッパでは安くなる。



たとえばぼくが出張したときは、ピークの1ユーロ120円だったので、

最大ピークの170円だった頃とくらべて3割もやすい。

ホテル代も、1泊19000円だったものが13000円くらいとかなり安くなったし、

食事も交通費も全てが安くなったので、今回の出張でぼくはいつもよりもちょっといいレストランで食事したり、普段買わないようなお土産を多めに買ったりして、円高の利益を肌身で実感できた。



日本でお店にならぶインポートの服も、当然このようなの感覚で買えるようになるわけで、

商品さえよければ、09AWは必ずインポートブランドは売れるだろうな、という確信があった。



というわけで、今回のTIURFのバイイングとしては、当然「攻め」の仕入れになるわけだ。



というわけで、オモシロ目なアイテムを発掘するべく、買う気満々でパリに向かった。



ーーーーーーーーーー



『観光客とバイヤーが激減だったパリ』



パリの街をみてまず実感したことは、



「パリそのものに変わりはない。ただし中国やアラブからの観光客が激減した」



という実感だった。



去年までは、アラブマネーの中東からの観光客や、中国人の団体ツアー客がどこでも見かけたものだが、これがまったく見かけなくなってしまった。数年前のパリに戻ったというか。フランス人そのものの人出はほとんど変わっていないのだけど、観光立都市パリとしては、観光客が少ないとやはり静かな印象を受ける。



観光客が少ない。これは、中東や中国の観光客の売上比率が高いパリ・ロンドン・東京といった大都市は大打撃だ。
また、ある大きな合同展示会上で聞くには、特にアメリカからのバイヤーが激減したそうだ。

各展示会場も、やはり海外からのバイヤーが減ったそうだ。



日本からパリの展示会に出店している、ある国内メーカーの人に聞くと、



「いやー、あきまへん。(フランス以外の)外国からのバイヤーがかなり少ない」



とのこと。

ーーーーーーーーーー



『状況に変化に対応できるていたか』



このような状況は、予測できたであろうか。



ぼくは、「予測は100%出来なかっただろうけど、こうなってしまった以上、作り手は展示会までには『商品内容』で対応すべきだった」と思う。



ファッション産業というのは、一般の方にはなかなか理解しづらいと思うが、糸作りから始まって、生地作り、パターン作り、工場のサンプル作りなど、多くの
人の手や業者が長い日数をかけて作るものであるから、サンプルを数ヶ月前からすでに作り始めてしまったものを、ショーや展示会前にストップさせるのは難し
い。

しかしだからといって、まったく時代に対応しないで、時代錯誤のショーをしたのであっては、ますますそのデザイナーは「時代の空気を読めない」という悪評が立ってしまう。



だから、10月に経済危機が始まったとして、1月までの3ヶ月で、やはりなんとかして対応すべきだと思うし、一流は当然対応してきている。




ーーーーーーーーーー

『NEW MODESTY』

パリコレのショーが始まる直前に、大変興味深い海外のニュースを読むことができた。

あのカール・ラガーフェルド(シャネルのデザイナー)が言った一言。

“This whole crisis is like a big spring housecleaning ― both moral and
physical... Bling is over. Red carpetry covered with rhinestones is
out. I call it ‘the new modesty.’ ”

意訳

一連の世界危機は、年末の大掃除のようだ、-モラル(道徳)とフィジカル(肉体、見た目)の両方で。

ピカピカ光るようなこてこて飾るための服は終わった。

ラインストーンで覆われたレッドカーペット(セレブ文化)も時代遅れだ。

私はこれを、"new modesty"(新謙虚主義、つつしみ深さ)と呼ぶ。








この日の『くだもの』の私の日記には、こうコメントされている。

来シーズン2009-2010秋冬のトレンドが一発でわかってしまう

2つの記事をご紹介。


「コソの出来事」
http://koso.jugem.jp/?eid=2467


カールラガーフェルドの記事
http://nymag.com/daily/fashion/2009/01/karl_lagerfeld_declares_bling.html





カールのこの一言は、次の時代を予言しているかのように

ミラノのコレクションは全く「modesty」な雰囲気でスタートしているらしい。

エコや環境や優しさを服に求めるのではなくて、

天は自ら助くる者を助く、というわけで、

賢く生きていくためのsmart power fashion はどうあるべきか、

そーいう方向性を決めたとして、

やはりカールラガーフェルドって、すごいんだなーと、

おもった本日。
2009/1/23 の日記


『スマートパワー』という言葉は、ちょうどその頃、アメリカのヒラリー女史がいった言葉で、
直訳すれば、「賢い力の使い方」。

権力や経済力といった『力』を、無駄を省いて賢く、スマートに使い、国を変革しようというスローガンだ。身近なレベルでいえば、お金をスマートに使うとか、浪費癖や贅肉を削いでスマートになるといったことだ。(痩せるという意味ではない)

これにかけてぼくは、「スマートファッション」と書こうとしたんだけど、そうするとどっかの雑誌名みたいなので、長いがあえて「スマートパワーファッション」って書いた。
道徳的にも肉体的にも、「スマート」にパワーを使うことが、経済危機後のファッションのあり方ではないかというこのカールの予言に、ぼくはかなりショックを受けてしまった。
この予言の頃、メンズのミラノコレクションが一足早く始まったのだが、それをみたら完全に「Modesty(=謙虚)」な服がカッコいいではないか。秋冬のトレンドは、もうこれしかない。


New Modesty(=新謙虚主義、謙虚・思慮深い)な感覚のファッションがカッコよすぎる。


そしてこの予言を聞いてしまったぼくの中では、グリッターでセレブなファッション文化は、完全に過去のものとなって、すっかり「終わって」しまったのだった。

経済環境が一気に変化したように、人々のファッションに対する考えも一気に変容した。
人間は、一度通った路を戻ることはできない。
一度見たり聞いたりしてしまったら、後戻りはできないので、新しい考えを取り入れて、進歩的にいった者が勝つ。

ちなみに来季2009-10AWのパリコレでは、
あのガリアーノですら「Modesty」なショーだったし、クリスはまさにそれだ。
クリスのショーをwebなどでご覧になった人は、「今季やべーな」とすぐに感じたと思うけど、その直感は正しい。ぼくもめっちゃ格好いいと思ったし、だいいち、メンズファッションの歴史をひもとけば、メンズの服装のあるべき姿は、歴史的に見てもつねに他人よりModestyであることが正しかったのだ。
来季のコレクション全体に、「黒」が多いにも、おそらくこいいった思想が背景にあるのだろうと思う。

ーーーーーーーーーー


では、具体的な各デザイナーの「対応」について、次回から書く。



当店の取扱インポートブランドは、KRIS VAN ASSCHE, DRIES VAN NOTEN, JOHN GALLIANO,
ROBERTO COLLINA, JAS
M.B.などで、そこを中心に書いていくが、それらの発注に際して集めた他のブランドの情報もあるので、それらを交えて書いていく。



では、次回ご期待。


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posted by 番頭日記タカアキ at 21:25| パリ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外出張パリ・ミラノ食・文化・ファッション・旅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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